ラリー

幅広い分野の人材が結集。
発足2年目でつかんだ栄冠。

森 雪生

VDプロジェクト室 主査1991年入社 機械工学専攻

ラリー競技を積極的に支援する副社長からの後押しを受け、ラリーチームの発足に奔走。現在は総監督として、チームを引っ張る。レース当日は、メンバーのために料理づくりもこなす。

大森 陽介

VDプロジェクト室2008年入社 情報科学専攻

学生時代は自動車部。ジムカーナやサーキットでの運転に熱中した生粋のクルマ好き。運転スキルと仕事のスキルを上手く融合させたいと思い、チームに参加。

廣村 達哉

VDプロジェクト室2014年入社 システム工学専攻

学生時代から広告・宣伝に興味を持ち、動画等を制作。コンテストに応募するなど意欲的に活動。その経験とスキルを活かし、チーム内では、広報・デザインを担当する。

※部署名や役職名、文中の大会成績や受賞歴などは、取材当時のものです。

サーキットを走るレースと違い、公道(主に林道)で速さを競うラリー競技。最近は、女性の間でも人気が広がっています。アドヴィックスでは、社員有志が集まって2016年に「ラリーチーム」を結成。
「TOYOTA GAZOO Racing ラリーチャレンジ」に参戦し、2017年には、第9戦/福島ラウンドの「C-3クラス」で初優勝を飾りました。業務外の活動であるラリーチームに集った有志は多種多様。大学の自動車部でテクニックを磨いたドライバーがいれば、学生時代にデザインや動画づくりに没頭していた者もいます。やりたいことを夢中でやるために集まった仲間たち。仕事に活かしながら好きなことを続けられるチャンスがここにはあります。

ラリー競技は、チームスポーツ

「TOYOTA GAZOO Racing ラリーチャレンジ」は、その前身が2002年にスタートしている歴史あるラリー競技。時速100キロを超える猛スピードで駆け抜け、コンマ1秒の速さを競います。レース中の車体はまるでモーターボートに乗っているかのように弾みますが、衝撃を絶えず受け流しながら走るのが醍醐味だと、福井、福島、富山ラウンドの優勝ドライバー大森は言います。信頼できるコドラがいれば、実はまったく怖くないとのこと。“コドラ”とは、「コ・ドライバー」の略。助手席からドライバーへさまざまな指示を出す“副操縦士”です。ラリー競技は、ハンドルを握るドライバーとコドラの息がピッタリ合わなければ、速く走ることはできません。

また、ドライバーを支えているのは、コドラだけではありません。人目につかない舞台裏で作業をこなすメンバーの存在があってはじめて成立します。たとえば「サービス」と呼ばれるメンバー。ラリー競技という過酷な状況下では、車体はもちろんブレーキ関連の部品もダメージを受けます。レースの合間でマシンを修理したり調整したりするのがサービスの役割。チーム全体で合わせるとサービスは15人ほどいますが、競技当日は参加できるメンバーが毎回入れ替わりながら5,6人が帯同。普段の仕事で培った技術を存分に使い、限られた時間でマシンの状態を整えます。

さらに、期待に応えるドライビングができるよう、ドライバーの運転技術の効率的な向上にも抜け目がありません。仕事のスキルを活かして、車両の動きとドライバーの操作をデータとして見える化するツールをつくり、修正点を明確にしてスキルアップに励んでいます。

ドライバーの腕の良さと、コドラやサービスによる質の高いサポートが調和することによってはじめて、良い成績を残すことができるのです。

活動の輪はレースの外でも

活動はレースの場のみに限りません。チームの活躍を社内外に発信し、PRすることも重要な活動のひとつです。広報・デザイン担当の廣村は、日頃は制御開発をするエンジニアですが、ラリー活動では、車両のデザインをはじめ、活動PRの動画やチームグッズの制作を担います。

日頃の開発業務で感じる“自身が携わったものを世の中に送り出す“というやりがいを、開発業務とは異なった分野で感じられることが面白いと語ります。また、注力した広報物がきっかけとなり、チームを応援してくれる人やメンバーが増えることも大きな魅力のひとつ。

そんな廣村の熱意もあってか、現在ラリーチームの所属メンバーは、約40名。技術系、事務系問わずさまざまな職種から人が集まっています。もちろんクルマが好きというメンバーが多いですが、ラリーに対する特別な知識や技術が必要なわけではありません。例えば、競技当日や練習会での炊き出しを行うことも大切なチームサポートのひとつ。チーム創設者である森も、毎回率先して腕を振るいます。

ラリーカーが目の前を駆け抜ける大迫力の一瞬を写真に収めるカメラ好きや、ラリー開催地の観光地やグルメをもとにプランニングする旅行好きまで、関わり方は十人十色。メンバーひとりひとりの個性とチームワークによって、アドヴィックスラリーチームが成り立っています。

ゴールは、挑戦する人材の育成

「競技である以上、チームとして優勝へのこだわりはあります。しかし活動の目的は、ただレースで良い結果を残すことだけではありません。
若い世代がクルマに触れる機会をつくることで、クルマの構造や技術に対する理解を深めてほしいというのが目的のひとつ。ブレーキだけではなく、各部品を自分の目で見て手で触って学ぶことのできるラリーチームの活動は非常に有意義です。

もうひとつは、勝つことの喜びを知ることで、何事にも挑戦する姿勢を育てること。勝つために練習をする。勝つためにコースの研究をする。そんな意識をラリーチームで得て、仕事にも活かしてほしいと考えています。」(森)